鍼灸治療と生活習慣についての質問。 名古屋市千種区本山駅 鍼灸治療専門 なかやま鍼灸院

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鍼灸ブログ

鍼灸治療と生活習慣についての質問

よくいただく質問 2016.11.9

さまざまな物事について、考え方は人それぞれです。私は鍼灸師で、鍼灸治療の専門家ですが、全ての鍼灸師が鍼灸に対して同じ理論や考え方を持っているわけではありません。例えば同じ食用肉でも、牛肉・豚肉・鶏肉・羊肉などがあり、それぞれ味や栄養も違い、好みも人によって分かれます。(そもそも肉を食べない人もいます)。同じ「鍼灸」であっても、世界観・身体観・鍼灸観・治療理論・治療方法などが鍼灸師ごとに違うのです。私は、大切なことは「患者さんに満足してもらうこと」や「結果を出すこと」だと思っています。また、健康に関する常識は日々新しくなっています。常にアンテナを高くし、真偽を判断し、より適切なアドバイスや指導ができるように心掛けています。

以下の文章は、あくまで私の個人的な考えとして読んでいただけるようお願いします。

鍼灸治療が合う、合わないについて

鍼灸治療は治療内容や刺激量を、治療者が患者に合わせて行うものなので、合う、合わないは基本的にありません。それよりも、時々あるのが、患者と治療者の相性のようなものです。
私の場合、患者さん自身の治したいという気持ちが弱くて私の治したいという気持ちに合わないことがあります。当院は基本的に「結果を出すこと」や「治すこと」を目標にしています。そのためは、症状がある状態で来院される患者さんの生活環境を否定しなければなりません。自分の生活環境を否定されたくない方は自分の症状も否定できないので、当院の考え方に合いません。また、初回の問診時に、私が必要な情報を得ることよりも共感や同情してほしいと望む人もいます。そういう人も、当院の考え方に合いません。共感や同情で症状が治るのであればどれほど楽なことか。加えて、病院でこう言われた、他の治療院でこう言われた、など、治らなかった過去の治療を信じてその価値を私に押し付ける人も、当院には合いません。それで治らなかったからここに来たんでしょう?の一言です。いささか謙虚さに欠ける発言に聞こえるかもしれませんが、私は私の治療に納得してくれる人だけ来てくれればよいと思っています。そう思っているからこそ、私の治療に納得してきてくれる人に全力を尽くすことができるのです。

治療間隔について

患者さんが治療院に来る一番の目的は「症状を改善させること」だと思っています。ですので、なかやま鍼灸院では症状を順調に改善させるために一番有効な治療間隔をお伝えしています。治療間隔が空いてしまうことによって、当院の治療で本来は治るはずの症状が治らなくなってしまうこともありますので、ご注意ください。
症状が強い時にはなるべく間隔を詰めてご来院いただけるようお願いしています。鍼灸治療は毎日受けていただいても、害はありません。自律神経やホルモンの状態を整える治療など体内のことに対する治療ならば、定期的にある程度の期間通っていただくほうが効果的です。一番効率良く症状が軽減していく治療間隔をお伝えさせていただいています。
なかやま鍼灸院の基本方針として、「症状が軽減するにつれて徐々に間隔を空けていき、最終的には自分で良い状態を保てることを目指します。」そのために治療開始初期から、自分でできる改善方法や生活習慣や食事内容の指導などを行っています。ご自身の行動を変えることによって、治療回数・治療期間を少なく短くすることができるのです。しかし、生活習慣などを改善させることができず心身に負担をかけ続けてしまえば、一度症状が治っても二度と再発しない、ということは難しいです。それに加え、鍼灸療法は「未病を治す」という予防的な治療をすることができます。ご自身での健康管理難しいのであれば、毎日をより快適に過ごすため、何物にも代えがたい健康と言う財産を保つために、1ヶ月に1回ほどの健康管理の治療をお勧めしています。

鍼灸治療について

鍼灸治療は自然治癒力を向上させる治療です。身体の症状を改善することは、リラックスや精神的な安定につながります。鍼灸治療は「病気」ではなく「病人」をみる治療です。さまざまな症状に対して効果があります。
症状をしっかり改善させるためには、治療を受けていただくと同様に生活習慣や食生活を見直すことも大切です。日常生活の中で「身体への負担を減らし、回復を促す努力」をすることで、症状の改善経過も早くなります。食べ物が体を作っていますので、何を食べているのかは少なからず心身へ影響を及ぼします。症状を改善させるために重要なことは「患者さん自身が症状を改善したいと強く思い、その気持ちを行動に移すこと」です。鍼灸治療はそれを助け、改善への大きなきっかけを与えるものです。

鍼灸治療の適応症状は?

出血を伴う急性期の症状・内臓疾患の発作時・菌やウイルスが原因の症状は鍼灸治療の適応ではなく、病院で処置を受けて薬を服用することを優先すべきです。例えば、出血性外傷・心筋梗塞等の発作時・性感染症・水虫・O157による出血性大腸炎などの場合です。それ以外の、特に慢性的な症状に関しては、ほとんどの症状が鍼灸治療の適応症状になります。なぜなら、鍼灸治療は、人間の持つ自然治癒力(自己回復力)を高める治療であり、鍼灸治療で治らない症状は人間が自分自身だけのチカラでは治せないということになるからです。

鍼治療に使う鍼はどのような物か

はり治療に使用する針を「鍼」と書きます。読み方は同じ「はり」です。日本で鍼灸治療に使われている鍼は、多くの場合、髪の毛ほどの太さで、指で簡単に折り曲げることができるほど細い物です(実際は弾力があって「しなる」ので、曲げにくいです)。ハリ、というと注射針や裁縫で使う物をイメージしてしまいますが、治療で使う鍼はそれらに比べ断然に細いのです。これらの理由に加え熟練の技術により、基本的に「痛くない鍼治療」ができるのです。

鍼治療はなぜ効果があるのか

鍼治療は身体に侵害刺激を与えます。鍼が身体に与える微細な傷を治すため、生体の持つ自然治癒力が賦活され、血流が促進されます。血流が促進されることにより栄養状態が良くなり、機能が回復します。また、刺激された部位(経穴:つぼ)の持つ特有の効果や体の反射作用などにより、直接鍼が刺さることのない内臓の機能も改善されます。筋肉の緊張が緩和され血流が良くなることにより、自律神経の働きが整い、免疫系が賦活され、予防的な治療(マイナスをゼロにするだけでなく、ゼロをプラスにすること)ができるのです。
その他、鍼灸治療がなぜ効くのかに関しては「気」の存在で語られる理論があります。「気」については科学的には証明されていませんが、同様に、「存在しないことも科学的に証明されていません」。科学で証明されていることが全てではなく、人間の心身には未知の可能性があります。その可能性を引き出すことも、鍼灸治療の効果の現れだと考えています。

鍼灸治療が科学で証明されていないことについて

鍼灸療法の作用機序(どうして効果が出るのか)は、研究者の方々の努力によって徐々に解明されつつありますが、全てが解明されたわけではありません。簡単に言ってしまえば「なんで鍼灸が効くのかは、科学的に説明できない部分がある」のです。私はこれを、「鍼灸は科学的ではない・科学で証明できない」のではなく「現代の科学では全てを解明できていない」と解釈しています。将来、科学の進歩により「気」の存在が解明されれば、鍼灸療法の作用機序についても更なる解明があるでしょう。
鍼灸医学に関しては、科学的でない中にもそれなりの理論や考え方があるのです。そして、鍼灸医学は何千年にもわたって連綿と受け継がれてきました。そこには何がしかの真実があるのです。21世紀に入っても、世界の理として解明されていない謎はまだまだたくさんあります。しかし、そこに存在しているのであればそれは事実なのです。刺した、効いた、治った。ではいけませんが、そこに困った人の笑顔があるのであれば、それでも良いか、とも思えるので、私は研究者ではなく臨床家に向いているのだと思います。

治療院の専門性について

鍼灸治療はさまざまな症状に対して効果があります。
鍼灸院の中には、例えば「突発性難聴専門」「不妊症専門」「美容鍼専門」「スポーツ疾患専門」などの専門分野を掲げている鍼灸院があります。それはそれで患者さんのニーズに応えることになり良いことだとも思うのですが、なかやま鍼灸院は特定の疾患や症状に対して専門に特化してそれを掲げたりはしていません。できないのではなく、あえてしていません(鍼灸で専門科を掲げることには、資格も基準も必要ではなく、当人が自分で表明しているだけです)。その理由は、鍼灸治療の適応を正確に判断し、適応するどんな症状にでも対応できる鍼灸師こそが本物の鍼灸師だと思い、それを目指しているからです。例えば、脚の痛みで来院されている市民ランナーの女性に対して、生理痛があればそれを改善させることができれば、さらなるパフォーマンスの向上につながります。そのような治療ができる鍼灸師でありたいと思っているからです。また、さまざまな症状は身体の部位や症状ごとに明確に区別できないと考えているからです。人間の身体はさまざまなことが複雑に影響し合って状態を保っています。一見関係のないような複数の症状でも、根っこの部分では同じ原因が隠れていたりすることがあります。その場合、見えている症状だけを改善させても、本当の意味での解決にはなりません。部位別で区切ることなく、人間の身体全体をみることが鍼灸治療をする上で大切だと考えています。
なかやま鍼灸院の場合、もちろん来院される患者さんの傾向を数で見れば、臨床経験の多い症状や少ない症状はありますが、少なくともホームページ上の「適応症状の説明」に載せているものに関しては、少なくはない症例数を経験し、改善させることのできた経験のある症状しか載せていません。
そのような意味を含めた上で、当院は「はり・きゅう」治療専門の治療院です。(最近は、ほとんど灸での治療は行っていないので鍼治療専門を名乗っていますが「きゅう」も素晴らしい治療方法だと思っています)。

生活習慣などについて

症状を軽減させるために、費用的・時間的・労力的に可能なことならば、何でも試してみるべきです。自分の体の健康は、自分で管理できるに越したことはありません。手間がかかる・面倒だ・時間がないなどと思わず、強い気持ちを持って「体に悪い症状が出てしまった生活」を変えていく必要があります。特に、睡眠や食事は健康に大きくかかわることなので、しっかり見直す必要があると思います。

食事について

身体は食べた物からつくられています。食事は健康にとって重要な要素です。症状によっては特定の栄養素(が多く含まれる食べ物)を積極的に摂取する必要がありますが、基本的には、身体に悪いものを食べないこと、バランスよく美味しく食べることが大切です。毎日の生活に直接関わってくることなので、あまり杓子定規にならず、自分にできる範囲で気を付けるべきでしょう。
あなたが大人ならば、一日一食や二食にしたりして、胃腸を休ませる時間をつくることも良いかもしれません。糖分(砂糖など)はなるべく控えましょう。また、食品添加物・保存料・人工甘味料・着色料など不自然な人工物は極力摂取しないに注意しましょう。日本古来の発酵食品(味噌や納豆など)を摂ることも良いと思います。残念ながら、放射性物質に気をつけることも、特に小さなお子さんのいる家庭では特に大切です。

睡眠について

睡眠は健康を考える上でとても重要です。眠っている間に心身が回復するからです。脳を休めることで、気持ち的にもリフレッシュすることができます。睡眠不足が慢性的になってしまうと、自律神経の働きが乱れたりイライラが続いたりホルモン分泌が悪くなったりして、心身に様々な悪影響が出てしまいます。
一般的には1日7時間の睡眠時間が適当とされていますが、必要とされる睡眠時間は人それぞれや疲れ具合にもよって異なるので「何時間眠れば良い」というものではありません。次の日に心身ともに疲れがとれる睡眠を目指しましょう。そのためには、睡眠時間だけを気にするのではなく、より質の高い睡眠がとれるよう意識しましょう。

運動について

例え高齢であっても、筋力はトレーニングすることによって徐々に強化することができます。逆に、若者であろうと、身体を動かさなければ筋力は衰えていくのです。日常の中で身体を動かすことは、大切なことです。まずはストレッチや体操程度で構いません。筋肉を伸ばし、身体をほぐしましょう。運動は、ホルモンの分泌や睡眠の状態を良くすることにもつながります。健康を意識しての運動であれば、ランニングをする必要はなく、ウォーキングで十分です。心拍数が上がりすぎないように気をつけながら、軽く汗をかく程度の時間歩くことができれば良いと思います。筋力トレーニングをするにしても軽い負荷で構いません。日常生活での有用性を考えれば最大筋力を鍛えるよりも筋持久力を向上させることを優先させるべきでしょう。スポーツをしているのであれば、インナーマッスルの強化はケガの予防にもつながります。また、汗をかくことはそれだけでストレス解消になるので、精神的な安定にもつながります。

薬について

薬には副作用が必ずあります。薬は、本当に必要な物を本当に必要な時にだけ使うことが望ましいです。すでに薬に頼ってしまっている状態であれば、症状がつらいのに薬の量を減らすのはたいへん苦しいことです。ですので、まず鍼灸治療で症状を改善させ、それに応じて(医師と相談の上)徐々に薬の量を減らしていくべきです。当面の目標は、薬を使わずにつらくない状態を保てるようになることです。
特に、精神安定薬・睡眠薬・ホルモン薬・鎮痛剤に関しては、使うことを極力控えるべきです。使用期間が長くなると体が慣れて効き目が弱くなり、同じ効果を出そうとすると、薬の量が増えていってしまいます。麻薬性・中毒性もあり、断薬する際に苦労することになります。

漢方薬について

漢方薬も薬であることに違いはないので、西洋医学の薬と同様に副作用があります。したがって、基本的な考え方は西洋の薬に準じます。
また、本来、漢方薬は長期間服用するものではありません。そして、同じ(ように見える)症状であっても、人によって体質や原因が異なることもあるので、同じ漢方薬が同じように効くとは限りません。「的確な証立て(東洋医学的な診断)」があって、初めて適切な漢方薬の処方ができるということを忘れてはいけません。

 

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